




Q:2月にオープンした、ブリリア_ショートショートシアターをプロデュースされたようですが、作ったきっかけを教えてください。
もともとは、アメリカンショートショートという短編映画祭でスタートしたのですが、当初からお客様が、「映画祭以外で、年間を通してこういった短編が観られる場所はないのでしょうか?」とおっしゃってくれていたのがひとつのきっかけです。もうひとつは、世界中から来る映像作家たちからも、「日本には年間を通じてショートフィルムを観られる場所はないのか? 自分の作品はもっとあるのだけれど、それを上映してくれる場所はないのか?」という声があって、クリエーターとお客様双方からの声に応えられる場所を作りたいと思ったことです。ちょうど映画祭が5周年を迎えたあたりから、実際にシアターが作れたらいいと考え始めました。

Q:すごくきれいな劇場ですが、別所さんが特にこだわられた点はどこですが?
このシアターは赤を基調に作っています。それから劇場では、皆さんに気持ち良く映画を観てほしいと思いまして、シートにこだわりました。これはパリのオペラ座や、カンヌ国際映画祭の会場でも使用されているフランスのキネット社のものです。いろんな種類があるいすの中でも、赤い色で、フェスティバル感もあり、座って気持ちいいシートを選ぶというところにはかなり時間をかけましたね。短い作品をたくさん観ていただく際に、楽しみを引き立ててくれるのではないかと思います。

Q:シアターでの上映は、1回につき大体何時間なのですか?
今の上映スタイルは、60分の中に数本のショートフィルムをギュッと盛り込んでいます。いろいろなショートフィルムで世界中を旅してもらおうという感じで作りました。
Q:ラインナップはどのように選ぶのですか?
もともとは映画祭と連動していますから、ショートショート_フィルムフェスティバルで毎年集まった選りすぐりの作品の中から、リバイバル上映したいものや、アカデミー賞にノミネートされたような作品などを組み込んで、一般のお客様にも楽しんでいただけるようなプログラムにしています。
Q:映画を観ながら楽しめるフードやドリンクにもこだわりがあるようですね。
世界中の面白い飲み物や食べ物も紹介していけたらと思っているんです。現在は地ビール、それから、ブラジルのポン・デ・ケージョというモチモチのチーズパンがあるんですけど、これがサンパウロの映画祭に行ったときに本当においしかったのでお出ししています。映画にちなんだお酒のメニューも考えています。ぜひ、バーやカフェとしても使ってほしいですね。
Q:これからこの劇場を利用する人へのアピールをお願いします。
僕自身、ショートフィルムは、コーヒーで言えばエスプレッソのように、ギュッとうまみが凝縮された素晴らしいものなんだ、映画は長さじゃないんだ、ということに10年前に気付かされました。ショートフィルムは映像作家にとって、絵画でいうデッサン画のようなものといわれています。自分が何かを始めたときの初心に返る意味ですごくフレッシュな気持ちにさせてくれるし、いろいろな形で前頭葉も心も刺激されると思います。また、自分の既成概念を壊すという意味でも、自分の最初の一歩を見つめる意味でも、まず足を運んでいただいて、ショートフィルムの魅力に触れていただきたいと思っています。

Q:10年間を振り返られていかがですか。
10年たっちゃったな~という感じですね。年取ったなあという思いもありますけど、若い人たちの映像に対する思いや情熱を、映画祭を通じて感じることができるので、その分気持ちは若返らされたというか、元気になりました。節目節目でいろんな方たちがかかわってくれているんです。例えば、以前僕たちの映画祭にかかわったアメリカのジェイソン・ライトマンという監督は、『JUNO/ジュノ』という映画で2008年のアカデミー賞に出て、若手の注目株としてレッドカーペットを歩きました。映画祭で日本に来てくれた彼は日本通で、何度もメールでやり取りをした仲なのですが、そんな彼がショートフィルムを通じてアカデミー賞の扉を開いていったという現実もあるし、映画祭そのものもアカデミー賞の公認映画祭になりました。多くの日本の監督たちも、僕たちの映画祭を通じていろんなチャンスを得てくれていたりして、人と人とがどんどんつながっていくということで10年間という歴史を感じるようになりましたね。

Q:このフェスティバルの今後について聞かせてください。
ようやく10歳になったというところなので、ここからさらに自分らしく歩いていく映画祭にしていきたいですね。それには皆さんの応援が欠かせません。それに加えて、オンライン部門という、ネットでの楽しみをMSNさんと一緒に提供できるという環境と、横浜のみなとみらいに常設された劇場の、サイバースペースでの環境と、実際にそれを体感できる環境という2つの軸が、毎年夏に行われる映画祭で風通し良く動いていって、そこから新たなクリエーターが生まれていけばいいですね。「あの監督の作品をシアターで観たよ」とか、「オンラインで観たよ」とか、育てる楽しさや自分が見つけた楽しさみたいなものも、ぜひお客さんとわかち合いたいとも思いますね。
Q:若きクリエーターたちへのメッセージをお願いします。
本当に期待しています。今年も、日本のクリエーターたちの素晴らしい作品がたくさん集まりまして、時間の制約さえなければもう全部紹介したいくらいなんです。そういう若い作り手たちに、どんどんこの劇場やオンライン部門を活用していってほしいと思います。僕は、人間っていろんな人とコミュニケーションを取ることで鍛えられると思うんですよ。映画ってエンターテインメントだし、自分の発したいメッセージがアート性を持っていたとしても、自分ひとりで閉じてしまっていては伝わらないと思うんです。だから、オンライン部門だったり、シアターだったり、映画祭だったりといった場で自分が思うことを表現して、いろんな人に観てもらって、そこからもっともっと吸収して一緒に成長しようぜ! って感じですね。